悪い男 |チョ・ジェヒョン

悪い男悪い男
出演:チョ・ジェヒョン /ソ・ウォン
エスピーオー
発売日 2004-08-06

ヤクザのハンギは街で見かけた女子大生ソナにひとめぼれし、いきなりその唇を奪う。そのときからソナの人生は変わった。本屋で落ちていた財布をカバンに入れたのがきっかけで、娼婦街に売られてしまう。しかしそれを仕組んだのはハンギだった。彼はマジックミラー越しに、娼婦になったソナをずっと見つめていた。
生きることに不器用な男と、そんな男に一方的に愛を捧げられた女の、激しく奇妙なラブストーリー。常に彼女を見つめ、危険が及ぶと助けに飛んで行く男の行為は、ある意味、純情だけれど、その手段を問わないハンギの行為はまさに「悪い男」だろう。激しく暴力的な純愛という、新しい愛の形を描いたのは韓国の異才キム・ギドク監督。海外の映画祭でも評価の高いギドク監督の描く愛の世界は甘さ一切なし。激し過ぎて嫌悪することもあるが、目を離せないことも確かだ。(斎藤 香)

まず、道徳観を捨ててかかれ 2004-06-18
衝撃があった。
超こわっつ。この手のショッキングな作品に出くわすと私の人格は二分する。
1人の優等生的自分は「なんて不道徳な怖い世界なのかしら・・・。イヤダイヤダ。ヤラシイったら!すさまじく嫌な男!あまりに不憫な女の子!不条理だワっ!!プンプン!」
ところがもう一人の自分はいつのまにか変にどっぷり納豆糸をひいている。違う世界と割り切り、まさに題名のように「悪い男」と認識したい優等生とは別に、しょうもなく浸っている自分に気付く。男と女のしゃーない愛憎劇。力の関係。惰性、あきらめ。いやしめ。人生の中の消したい感情が衝撃的な違う世界で展開している。濃縮されている。そんな戸惑いの陶酔を投げかけるというのはとっても力のある作品である。ふう~っ。

チンピラの純情 2004-09-20
愛するが故に落とす。どこまでも落とす、その愛の深さまで。。
唯一の愛の形を貫く男、悲しみにの中からその愛に答えていく女。本作はラブストーリーである。故にいきなりのファンタジックな演出も、彼女を破滅させるまでの多少無理な手口も、その辺含めてラブストーリーなのである!細かなリアルさやディテールよりも、全体を通してキムキドクの愛の世界だけがそこにはある。誰が呼んだか「韓国の北野武」。ナイスネーミングです。主演・監督が北野武であっても十分成り立つ映画である。

凄まじい愛の表現を受け入れられるか? 2004-09-11
キム・キドク監督でチョ・ジェヒョン主演なら期待してしまいます。
この作品はラヴストーリーなのか、バイオレンスなのか、評価が分かれると思います。
私的には前者ととらえました。何故なら、目的の為には手段は選ばず、まさにギャング的な行動に終始する中に、極めて幼稚で乱暴ではあるが何者にも負けない純粋な愛があり、その愛がとても深いものに感じたからです。
最初は全く受け入れない彼女の心がハンギに動いていくという変化は「男と女」という得体の知れない何かを表現しようとしたのかもしれません。
全編を通してチョ・ジェヒョン扮するハンギの台詞は1カ所だけ、言葉での表現を避け、直接ハートに語りかけてくるキム・キドク監督の手法に圧倒されるばかりです。
それにしても、この街のセットはよくできてますね。現地でのロケかと思いました。

前人未踏のセンス 2005-07-08
 この映画を見るきっかけは女性視点の酷評を知って。その180度ウラの視点から観てみようと思った。助監督経験も経ずこの世界の慣例もものともしないキム・ギドク監督の経歴に非常に関心を持った。 映画製作のknow・howを段階的に経てきた者にはおそらく考え及び難いであろう人間という存在の光と影を、巧妙というのではなく、ただ自然にとらえきっていると感じた。
(その光と影なるものを映像の色彩が物語っている)
 私が観た中でこんな風に思わせてくれる作品(監督)はかつてなかった。気が付くと、表面的には矛盾に見えるこの悪い男の行動を受け入れている自分がいた。 言葉にならないのだ。ただ涙があふれたというのが自分の心の感想(反応)なのだろうか。 ほんとうのところ、生きている人間ひとりの何層にも及ぶ心の井戸の底に到達したとしても、それを言葉にすることなんてできないのではないだろうか。
 そんなことをふと思った。 キム・ギドク監督映画の常連 チョ・ジェヒョンはこの映画でハンギそのものとして存在し、このまま存在しつづけるのではと思ったほどだ。 表層に表れない深い愛を知った二人は幸せだと思った。
 
 自分の中のあらゆる感情を総動員させられる映画だった。
この監督の作品はすべてチェックしようと思う。

ちょっと「アンジェリク」が入っている? 2005-10-16
ハンギはソナに昔の恋人の面影を見いだしたのでしょうか。
今の自分はしがない極道、障害(?)によって発声もままなりません。
そんな自分が女子大生を恋人にしたいなんて贅沢過ぎる。
だから選んだのは文字通り「最低の純愛」。ハンギはソナの体を資本に小銭を貯め、いずれ何処か地方都市で屋台でも開くのでしょう。
そう思いながら観れば暗い話ではありません。
ソナは泥の中でも咲く蓮の花を思わせました。


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